町家の奥まったところに、ふいにあらわれる小さな庭。それが「坪庭」です。わずか数畳ほどの空間に、苔や飛石、手水鉢がしつらえられ、家のなかに自然を取り込みます。

坪庭の役割は、風景を眺めるだけではありません。閉じた町家に光と風を通し、湿気を逃がす——機能と美しさが分かちがたく結ばれた、京都の暮らしの美意識そのものです。

朝は葉先の露が光り、昼は白い砂が明るみ、夕は影が長くのびる。同じ庭が、時刻によってまるで違う顔を見せます。滞在中、一日のうち何度か坪庭を眺めてみてください。移ろう光のなかに、京都の時間が流れています。