旅先で雨に降られると、少し残念な気持ちになるものです。けれど町家では、雨の日こそ家がいちばん美しく見える時間かもしれません。
瓦を打つ雨音、坪庭の苔が深める緑、しっとりと色を増す土間。乾いた日には気づかない家の表情が、雨とともにゆっくりと立ちあらわれます。
雨の日の小さな愉しみ
縁側で本を読む。台所でゆっくりお茶を淹れる。窓辺で雨だれを数える。予定を詰めた旅では味わえない、なにもしない時間の豊かさが、雨の日にはあります。
傘を借りて近くの喫茶店まで歩くのも一興。濡れた石畳に映る町の灯りは、晴れの日にはない京都の顔です。雨を、旅のおまけと思って楽しんでください。