「京の底冷え」という言葉があります。盆地の京都の冬は、足もとから芯まで冷えあがるような、独特の寒さです。

町家は本来、夏を旨としてつくられた家。風がよく通るぶん、冬の寒さはこたえます。だからこそ人々は、火鉢や炬燵で小さな熱を囲み、身を寄せあって冬を越してきました。一部屋を暖めるのではなく、人のまわりだけをあたためる。その慎ましさが、京の冬の作法です。

寒いからこそ、あたたかいものが心底しみます。湯豆腐の湯気、白味噌雑煮の甘さ、熱燗の一献。冷えと温もりの落差のなかにこそ、京都の冬のごちそうがあります。

この家でも、冬には現代の暖房で芯からあたためつつ、京の冬ならではの静けさを味わっていただけます。凛と冷えた朝の空気は、冬の京都だけの贈り物です。