町家の表情を決めるものといえば、なんといっても格子戸でしょう。細い木を等間隔に組んだこの建具は、京都の町並みそのものの記号です。

格子には、よくできた仕掛けがあります。内側からは外がよく見えるのに、外からは内がほとんど見えない。光と風を通しながら、暮らしのプライバシーを守る。機能がそのまま美しさになっている、稀有な建具です。

季節をうつす、しつらい

格子の内側では、季節ごとの「しつらい」が旅を彩ります。玄関の一輪の花、床の間の掛軸、夏のすだれ、冬の火鉢。大がかりな飾りではなく、季節を一つ二つ、そっと置く。その引き算の美意識が、京都の家のもてなしです。

滞在中、格子越しに移ろう外の光と、室内のささやかなしつらいと。その静かな対話を、どうぞ味わってください。